慶應戦略構想センター(KCS)は2025年12月5日、ジェームズ・フィアロン氏(スタンフォード大学教授)を講師にお招きしてエキスパートラウンドテーブル(ERT)を開催し、「通常戦力の恐怖の均衡(The Conventional Balance of Terror)」というテーマでご講演いただきました。
研究者や政策専門家、在京の外交官らが参加したERTでは、まずフィアロン氏より、Foreign Affairs誌2025年5・6月号所収の共著論文”The Conventional Balance of Terror”に基づいて、現代における米中の通常戦力バランスをめぐる諸問題や、アメリカのこれまでの国防政策上の取り組み、そして通常戦力レベルにおける陸・水中・空の第二撃能力のトライアドを構築する必要性、対中抑止を目指す地域諸国が各々の接近阻止・領域拒否(A2/AD)能力を整備する必要性などについてお話しいただきました。
その後は、危機安定性におけるC4ISRの位置づけとサイバー領域の含意、部隊等の残存性を高める受動的防御策に十分な予算が割かれない理由、通常戦力をめぐる米中の関係において危機安定性が低いとみる理由、日本を含むアメリカの同盟国が能力面で目指すべき役割分担のあり方、日本が整備すべき機能的な能力分野などについて、講師と参加者との間で活発な議論が交わされました。