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戦略構想センター とは
戦略構想センター(Keio Center for Strategy)は、世界情勢の不確実性と不透明性が増している中で、戦略研究、安全保障研究、国際政治研究、地経学研究などを総合して、通常の学部によって分かれている学問領域を横断する学際的・総合的な研究を行うために、2023年3月1日に設立されました。
政府と民間の協力(Public-Private Partnership)や、経済と安全保障の融合(経済安全保障economic security)などの視点も含めて、従来の垣根を越えた研究活動を目指します。
今後は大学(academia)、経済界(business)、政府(government)などからの参加者を得て、交流の場として、幅広い視野から実践的、応用的な研究を進めていくことになります。また、海外の大学やシンクタンクなどの交流も活発に進めていき、幅広いネットワークのハブとなるように、活動して参ります。さまざまな発信やアウトリーチ活動も行っていき、大学の持つ知のリソースを活用した、世界的な拠点形成となるように志しますので、幅広いご協力とご支援をよろしくおねがいいたします。
細谷 雄一
戦略構想センター センター長
センター長による挨拶
いま、世界が大きく混迷しています。新型コロナウイルスが世界を分断し、ロシアのウクライナ侵略が世界を震撼させ、そしてナショナリズムやポピュリズムの台頭が先進民主主義諸国の政治基盤を動揺させています。そのようななかで、それぞれの国家が、より長期的な視座から、そしてより広い視野から、戦略を構想し、それを実践していくことが求められています。
慶應義塾大学戦略構想センターは、そのような世界が大きく揺れ動き、よりいっそう不透明性を増す中で、2023年3月に誕生しました。それぞれの学問分野の狭い垣根を越えて、多様な問題を、学際的および実践的に検討をして、その研究の成果を積極的に発信していくことを目指しています。
慶應義塾の創設者である福沢諭吉は、学問において「実学」の重要性を説きました。それは、実証的に真理を解明し問題を解決していく学問姿勢であり、現実世界に目を向けてその課題に取り組むことだと考えます。そのような志をわたしたちも継承し、戦略構想センターでは世界の抱える、そして日本の抱える多様な問題に、真摯に、そして実証的かつ学問的基礎に基づいて向き合っていきます。
森 聡
戦略構想センター 副センター長
副センター長による挨拶
「戦略」という語は、その原型とされる言葉が古代ギリシャで使用されていたことが確認されています。時代が下り、戦争観の変遷に伴ってその定義も変わり、もともと軍事の領域に限って使用されていた用語が、様々な分野で使用されるようになりました。英国の戦略研究の大家ローレンス・フリードマンは、2023年5月に第3版が刊行された論集『新・現代戦略思想の系譜』に寄稿した論文で、「戦略」という語の定義と用法の歴史をたどり、「過去250年の間に、『戦略』はほとんどあらゆる人間の営みに潜在的に関係しうる総花的な言葉になった」と指摘しています。しかし、不確実性と流動性に満ちた現代の世界を生き抜いていくためには、自らが直面するリスクを把握し、どのようなリスクを優先的に抑えていくべきかを判断して、そうして割り出された様々な目的を達成するための方法と手段を体系的に一貫・整合させる「戦略」を絶えず構想し、この知的枠組みの中で有限なリソースの配分を決定していく営みが不可欠となります。いま世界は、主要な大国が一国主義的な傾向を強め、価値規範の共有度が低下していく局面に入っています。「戦略」とは何かという理解を更新しつつ、国際的な知的ネットワークの中に身を置いて、それが万能ではないという冷静な理解を持ちながら、日本の「戦略」のあり方を徹底的に議論し考え抜いて構想する。戦略構想センターがそのような知的集団の拠点となることを願っています。このような素晴らしい取り組みの一端に携われる幸せと、これからの様々な出会いとそこから生まれる様々な可能性に感謝致します。
鶴岡 路人
戦略構想センター 副センター長
副センター長による挨拶
日本国内にも世界にも課題は山積し、それらがさらに複雑化する一方で、我々のリソースは常に限られています。使用可能なリソースを有効に使い、目標を効果的に達成するために必要なのが戦略です。その戦略を構想するためには、さまざまな知見が必要ですが、具体的な分野を考える場合には、やはり政策分析が不可欠です。現実の政策課題に正面から向き合い、それを徹底的に分析せずして戦略をつくることはできません。政策研究のできるスペシャリストの育成も大きな課題です。戦略構想センターは、慶應義塾大学の異なる学部・キャンパスに所属する教員・研究者が学外、さらには世界の関係者と連携し、内外の課題に真剣に向き合い、戦略を構想するハブになることを目指しています。